税務調査には任意で応じればいいの?

税務調査のほとんどは「任意」
でも、「受認義務」があり断れない

税務調査が行われる場合、ほとんどのケースは「任意調査」です。

ただ「任意」だからといって断れるわけではありません。

税務調査官には「質問検査権」があり、納税者には「受忍義務」があるためです。

今回は税務調査には「任意」で応じればよいのか、質問検査権の範囲や受忍義務、拒否した場合の罰則についてご説明します。

任意調査でも「断れない」理由

税務調査には「任意調査」「強制調査」の2種類があります。

ただし強制捜査が行われるのは悪質な脱税があると考えられるケースで、脱税額も1億円を超えるような高額な事案が多数です。

一般的に行われる税務調査のほとんどは「任意調査」です。

任意調査は任意で行われるものなので、税務調査官が納税者の同意をとって行います。

実地調査する場合でも、多くは抜き打ちではなく事前に連絡があり、日程調整をした上で現地調査を実施します。

ただし「任意」というのは「拒否できる」という意味ではありません

任意調査であっても税務調査官には「質問検査権」が認められ、納税者には「受忍義務」があるためです。

質問検査権とは

質問検査権とは、税務調査官が納税者に対して調査に必要な情報の提供を求める権利です。
具体的には以下のような権限が認められます。

質問する
納税者に対して必要事項について適宜質問できます。

帳簿書類やその他の資料を検査する
帳簿や領収証などの税務調査で必要な資料を確認し、検査できます。

帳簿書類その他の資料の提出を求める
納税者に対し、帳簿や領収証等の提示、提出を要求できます。

受認義務とは

受忍義務とは、納税者が質問検査権に対応しなければならない義務です。
税務調査官が質問検査権を行使した際、納税者は正当な理由なしに拒否できません。

質問検査を拒否するとどうなる?

納税者が正当な理由なしに質問検査を拒否した場合、罰則が適用される可能性もあります。

国税通則法128条には、以下のように規定されています。

1年以下の懲役または50万円以下の罰金に!

次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

一 第23条第3項(更正の請求)に規定する更正請求書に偽りの記載をして税務署長に提出した者

二 第74条の2、第74条の3(第2項を除く。)若しくは第74条の4から第74条の6まで(当該職員の質問検査権)の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をし、又はこれらの規定による検査、採取、移動の禁止若しくは封かんの実施を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

三 第74条の2から第74条の6まで又は第74条の7の2(特定事業者等への報告の求め)の規定による物件の提示若しくは提出又は報告の要求に対し、正当な理由がなくこれに応じず、又は偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類その他の物件(その写しを含む。)を提示し、若しくは提出し、若しくは偽りの報告をした者


わかりやすくいうと罰則が適用される可能性のあるのは、以下のような行動をとったケースです。

  • 更正請求書に偽りの記載をして税務署に提出した
  • 調査官の質問に答えない
  • 調査官の質問に虚偽の答弁をした
  • 調査官による検査や採取、移動の禁止、封かんの実施を拒否した、妨害した、忌避した
  • 調査官による物件の提示や提出の要求に対し、正当な理由なく応じなかった、偽りの記載・記録をした帳簿書類その他の物件を提示・提出した

罰則の内容

正当な理由なしに質問検査を拒否した場合の罰則は「1年以下の懲役または50万円以下の罰金刑」です。

つまり税務調査は「任意」の建前ですが、「正当な理由なしに拒否した」と認定されれば罰則が適用されてしまうのです。実際には応じる義務があるといえ、完全な任意とはいえません。「任意調査」であっても、税務調査は断れないものと考えましょう。

質問検査権の範囲や限界

ただし税務調査官の質問検査権は無制限に認められるものではありません。
調査に必要な範囲に限定されます。
たとえば事業と関連のない私物については提示する必要がありません。
事業に使っているものであっても、売上や経費と無関係で税務調査には不要なものであれば、提示しなくて良い可能性があります。
たとえば飲食店や美容院の「予約表」は、売上額を正確に表すものではありません。キャンセルも発生しますし、予約されたコースが変更される場合もあるからです。
提示を求められたとき、必ずしも応じる必要があるとは限りません。

また税務調査官の質問検査権には「物理的な強制権限」が含まれないと考えられています(最高裁判所昭和48年7月10日)。
裁判所の令状を取得して行う強制調査ではないため、物の差し押さえなどはできません。
また質問検査権は脱税などの犯罪調査権ではないので、捜索差押などの捜査権も認められません。

質問検査権はあくまでも「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」目的の範囲で認められるものであり、物理的な強制はできないのです。

とはいえ実際は、税務調査の際に税務調査官に求められた通りに言いなりになってしまうケースがあります。税務調査に慣れていない税理士や一般の方が臨むときには充分に注意すべきでしょう。

税務調査は
税務調査に強い税理士

税務調査の連絡が来たとき「任意だから断れる」ものではありません。ただ、どのような質問にも応えなければならないわけでもありません。正当に権利を主張して不利益を最小限度にとどめるため、税務調査への対応は税務調査に強い税理士へ依頼しましょう。

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