売上が少ない・赤字でも税務調査の対象です
「売上が少ないから、税務調査には来られないだろう」
「事業が赤字なので、そもそも税務調査とは無縁の存在だ」
そうお考えではありませんか?
しかし、売上額が少なくても税務調査の対象になることがあります。
売上額が数百万円程度の個人事業主、
赤字の個人事業主であっても、課税事業主という分類にあたる場合は、
前々年の1月1日から12月31日までの基準期間内の申告内容に不審点が見当たる場合に
税務調査が入るケースは少なくありません。
今回は売上が少なくても税務署に目を付けられる個人事業主と企業の特徴をお伝えします。
特徴①:売上額が1,000万弱で計上されている
数年間、売上額が1,000万円弱の申告を続けられている場合は、最も注意が必要です。
1年だけならまだしも、数年間連続して「1,000万円弱」の売上が続いていると、税務署にしてみれば「消費税逃れをしているのではないか?」と目をつけることになるでしょう。
日本の税制では、売上額が1,000万円を超えると、
翌々年から課税事業者という分類となり、消費税が課税されます。
この課税を避けるために、1000万円以上の売上額があったとしても、
800万円~900万円代として申告書を作成し、
消費税を逃れようとする方が少なくありません。
800万円~900万円代での過少申告を税務署は把握している
このケースで税務調査が入った場合は、
7年間を目安に売上金額を遡って調査が行われます。
仮装隠蔽行為が発覚した場合、7年分の修正申告に加えて、
無申告の総金額にかかる重加算税(40%)、または5年分の期限後申告が求められます。
売上金額が増加した分の所得税の修正申告も必要になってきます。
請求書や帳簿というお金の支出を示す根拠がない場合
消費税の仕入税額控除も原則認められず
売上に対して発生する消費税額を満額支払うという最悪の事態に発展する場合もあります。
消費税を払わずに手残りを増やしたいとしても、売上額は正確に申告しなければなりません。
特徴②:赤字の原因に売上の過少申告が疑われる
赤字企業や個人事業主の中には「赤字なら税務調査は来ないだろう」と考える方が多数おられます。
確かに赤字の場合、調査しても申告漏れが見つかる可能性が低く、税務署の職員にとっては追徴できる金額が少ないため、税務署からしても旨味がないとも考えられます。
しかし、赤字の理由が以下に該当する場合は税務調査が入る可能性があります。
・売上額は高いが、経費が多くて利益率が著しく低い場合
・売上額や経費の額、内訳などの申告内容に水増し行為が懸念される場合
・昨年度まで利益があったにも関わらず、急激に減少して赤字になった場合
任意調査が行われる場合がほとんどですが、
変動額の規模に応じては多額の脱税を懸念され強制調査が行われる場合もあります。
売上の過少申告や経費の水増しによって赤字申告している方は特に注意が必要です。
※白色申告でも税務調査は来る
個人事業主としての売上が少ない場合、
青色申告をせずに白色申告を選択して確定申告を行うケースがよくあります。
一般に「白色申告の場合には税務調査が来ない」と思われていることがありますが、
単なる都市伝説です。
白色申告でも青色申告でも、申告書に不審点があれば同じように税務調査の対象になります。
また現在では、白色申告でも青色申告でも同じように記帳する必要があり、領収証も保存しなければなりません(青色申告の65万円控除を受けるには複式簿記による記帳が必要。白色申告や青色申告で10万円控除を受ける場合、単式簿記で問題なし)。
「白色申告だから適当に対応してもかまわない」という意味ではないのです。
白色申告から青色申告へ変えると、10万円または65万円(55万円)の税額控除を受けられます。
「税務調査を受けたくない」という理由で白色申告を選択している方は、少し思い違いをしているかもしれません。
※青色申告で税務申告(法人が行う確定申告)を行うためには、会社設立時や切り替えを通じて、青色申告を適用する年の3月15日までに青色申告承認申請書を税務署に提出します。
特徴③:所得額が著しく低い、売上が増えても一定である。
コロナウイルスなどの市場の著しい変動によって1年間だけ売上が少なくなった。など
特定の理由によって所得が低い場合は問題はございませんん。
ですが、以下のようなつじつまが合わない場合は税務署に目を付けられやすくなります。
・長期的に渡って所得額が十分に生活できる金額ではない場合
※5人家族なのに長年の年収が100万円程度etc…
・所得が低いにもかかわらず、保険・住宅・高級車に多額のローンを支払っている
ここで税務調査が入って、脱税が発覚した場合は先述した特徴①と同様に
この場合消費税の申告義務について7年以上前まで遡って売上の金額について調査が行われ
仮装隠蔽行為があった場合には、無申告の重加算税(40%)に加え、7年分の申告を求められます。
不正発見率が高い業種とは?
税務署では、毎年の税務調査についての統計をとっており「不正発見率や額の高い業種」を公表しています。
たとえば飲食店や美容室など「現金でやり取りする業種」は振り込みなどの履歴が残らないので、不正が容易です。伝統的に税務調査に入られやすい業種といえるでしょう。
建設業を経営されている方なども契約する金額が大きいため、税務調査が来るケースが多い業種の一つです。
また風俗営業も不正発見率や金額が多い業種です。
最近ではコロナ禍の中、ネット関連事業における申告漏れが増えてきています。
不正発見率の高い業種や重点的な調査対象に入っている場合、売上額が低くても税務調査に入られる可能性は十分にあるので、注意しなければなりません。
近頃は消費税の還付請求に対する調査が多数です。
消費税の不正還付請求が多いので、税務署は消費税の還付請求を行った事業者に対する税務調査を強化しています。
海外取引を行っていて消費税の還付請求をすると税務調査が来た、という方も多数おられます。
税務調査が来た場合の対処方法
売上額が低いからといって、税務調査が来ないとは限りません。
調査に入られると3~5年分、場合によっては7年分の資料を調べられて、申告漏れが見つかれば修正申告を求められます。
過少申告したとみなされると過少申告加算税がかかりますし、悪質な隠蔽行為をしていたら重加算税が加算されて税務調査の年数も7年分に増えてしまいます。
(さらに青色申告も取り消される可能性があります)
重加算税事案となると、これまでもうけた金額のほとんどを税金にもっていかれてしまう可能性もあります。手元にお金が残っていなければ、税金を払えなくなってしまうでしょう。
税務調査でなるべく不利益を小さくするには、専門の税理士に立ち会いを求めるべきです。
税理士がついていれば、税務署側へ納税者の正当性を主張してもらい、加算税等を可能な限り減額できる可能性が高まります。
税務署の事務年度は毎年7月1日~6月31日に該当します。
3月以降は確定申告の処理に充てられることが多いため、7月~12月の間に税務調査に本腰をいれるため、調査件数が偏りやすい傾向にあります。
納税者は通常、税務調査に関する知識もノウハウも持ち合わせていないでしょう。自分で交渉すると著しく不利になってしまうケースがほとんどなので、早めに税理士に相談するのが得策です。
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